「隊員がダンプカーを誤誘導して、元請けの資材や車にぶつけてしまった……」
「猛暑の現場で隊員が熱中症で倒れて救急搬送された」
「隊員が通行人と口論になり、警察を呼ばれる大騒ぎになった」
警備会社の経営陣(社長・役員)や営業・管制担当者が、最も恐れている一本の電話。それが**「現場からのトラブル発生連絡」**です。
どれほど普段から安全教育を行っていても、人間が現場に立っている以上、事故や不祥事を100%ゼロにすることは不可能です。大切なのは、**「起きてしまった直後に会社としてどう動くか(初動対応)」**です。
対応を一歩間違えると、損害賠償額が跳ね上がるだけでなく、取引先(元請け)からの出禁や、警察・労働基準監督署からの監査、最悪の場合は営業停止処分へと発展してしまいます。
今回は、現場叩き上げの視点から、警備会社が絶対に知っておくべき**「3大トラブル時の危機管理(リスクマネジメント)手法」**を徹底解説します!
1. 現場の3大トラブルと「会社が被る致命的リスク」
まずは、現場で頻発する3つのトラブルと、会社が背負う法的なリスクを整理しておきましょう。
① 誤誘導による物損事故・人身事故
- リスク: 警備員の誤誘導でバックしてきたダンプが壁や他車に激突した場合、警備会社は**使用者責任(民法715条)**を問われ、損害賠償を負います。万が一、通行人を巻き込む人身事故になれば、業務上過失致死傷罪などの刑事責任や行政処分の対象となります。
② 隊員の熱中症による緊急搬送
- リスク: 「ただの体調不良」では済みません。安全配慮義務違反として労働基準監督署の調査が入る可能性が高もあります。過酷な環境での連続勤務や給水タイムの欠如が発覚すると、労災認定だけでなく会社としての社会的信用が失墜します。
③ 通行人の胸ぐらを掴む・暴言などの警察沙汰
- リスク: 警備員には一般人を超える特別な権限(逮捕権や公務執行力)はありません。通行人との口論から暴行・傷害事件に発展した場合、警察の捜査対象となり、公安委員会から会社へ聞き取りが行われることがあります。
2. トラブル発生!会社の運命を分ける「初動対応の4ステップ」
現場から「事故が起きました!」と連絡が入った瞬間、内勤・経営陣が即座に行うべき対応手順です。
1、人命救助と二次災害の防止
最優先事項
何よりも先に現場の安全確保です。ケガ人がいれば救急車(119番)の手配、警察(110番)への連絡を優先させます。二次事故を防ぐため、現場の隊員に安全な場所へ避難・待機するよう指示を出します。
2、事実確認と写真・証拠の確保
現場へ急行
内勤(営業・管制)または指導教育責任者がすぐに現場へ急行します。
「誰が・いつ・どこで・何をしたか」を客観的に記録します。特に物損事故の場合、車両の位置、損傷箇所、誘導位置からの死角などを多角的に写真に収めます。隊員一方の言い分だけでなく、相手方や元請けの現場監督からのヒアリングも行います。
3、元請け(現場監督)や依頼者への誠実な初期謝罪
信用を繋ぎ止める
現場監督や被害者に対し、まずは「ご迷惑をおかけして大変申し訳ございません」と、事故が起きた事実に対する誠実な謝罪を行います。
※ただし、事実関係が確定していない段階で「全額うちが弁済します」といった無条件の過失認容発言は避け、「保険会社を交えて速やかに対応いたします」と伝えます。
4、保険会社・関係各所(警察・生安課等)への連絡
関係機関への報告
加入している「施設所有者管理者賠償責任保険」などの賠償保険会社へ事故受付を行います。重大な事件・事故の場合は、速やかに管轄の警察署(生活安全課)や労働基準監督署へ報告書を提出します。
3. 会社を倒産から守る「平時(日常)の防衛策」
事故が起きてから慌てるのではなく、会社として日常的に備えておくべき防衛ラインです。
防衛策①:施設賠償責任保険(警備業者向け保険)の限界額見直し
対物・対人の賠償保険に入っているのは当然ですが、**「補償限度額」**は十分でしょうか?
大型重機や高級車、またはインフラ設備(電柱や光回線など)を損壊させた場合、損害額が数千万円〜億単位に跳ね上がることがあります。自社の保険内容が現在の現場スケールに見合っているか、今一度見直してください。警備業では10億円がよくある話かなと思います。
防衛策②:熱中症対策の「社内エビデンス(証拠)」を残す
熱中症事故が起きた際、労基署から「会社としてどんな対策をしていたか」を問われます。
- 現場への「スポーツドリンク・塩分補給タブレット」の支給記録
- 現任教育や朝礼での「熱中症予防指導」の実施記録
- 「〇分おきの給水・休憩」を定めた社内マニュアル これらを書面や写真でエビデンスとして残しておくことが、会社が安全配慮義務を果たしていた証明(防衛策)になります。
防衛策③:クレーム対応の「アンガーマネジメント訓練」
通行人との口論を防ぐため、現任教育の場を活用して**「言葉遣いとクッション言語の徹底」**を行います。
「どいてください!」ではなく「恐れ入りますが、危険ですのでこちらを通行していただけますか?」といった、相手の感情を逆なでしない接客応対のロープレを反復することが、警察沙汰を防ぐ一番の予防接種になります。
まとめ:ピンチの時の「誠実で素早い対応」が逆に会社のファンを作る
トラブルが起きたとき、最もやってはいけないのが**「隠蔽(いんぺい)」や「隊員個人に責任をなすりつけて会社が逃げること」**です。
現場の事故を隠そうとしたり、対応を後回しにしたりすると、元請けからの信頼は完全に失墜し、SNSやネットで拡散されて会社が致命的なダメージを受ける時代です。
逆に、トラブルが起きた直後に幹部が素早く現場に駆けつけ、誠心誠意の対応と再発防止策を提示できた会社は、**「あの警備会社は事故が起きた時のアフターフォローが素晴らしい」**と、元請けから絶大な信頼を獲得するケースも少なくありません。
トラブルは必ず起きるものと割り切り、「起きた時の体制」と「保険・エビデンスの準備」を万全にして、強い組織を作っていきましょう!



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